ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート・ペア。
ショートプログラム5位からの大逆転、そして日本勢初の金メダル……。画面越しに、三浦璃来選手と抱き合い男泣きする木原龍一選手の姿を見て、一緒に涙した方も多いのではないでしょうか?
怪我、ペア解消、そして引退の危機――。何度も氷を去ろうとした木原龍一選手が、なぜミラノで世界一になれたのか。
今回は、ミラノ五輪での感動秘話から、木原選手の知られざる学歴・家族構成、そして高橋成美さんから始まった『ペアスケーター・木原龍一』の13年にわたる不屈の物語を紐解きます。
基本プロフィール
木原龍一の家族構成
木原龍一さんの家族構成は、父・母・龍一さんの3人家族です。一人っ子として、両親の深い愛情を一身に受けて育ちました。
父親について
父親のお名前や職業は非公表となっていますが、アメリカのクラシックカーが大好きでおしゃれな人だと、龍一さんはブログでその思い出を語ったことがあります。
フィギュアスケートは遠征費・レッスン代など、非常にお金のかかる競技です。にもかかわらず幼少期から一度も夢を否定されることなく、金銭的・精神的に全力でサポートし続けてきたご家族の存在が、今日の世界チャンピオンを生み出したといえるでしょう。
龍一さん自身もインタビューで家族への感謝を口にすることが多く、実家との絆の深さが伺えます。
母親について
母親のお名前は「鈴江」さんであることが知られています。
母親の鈴江さんは、4歳のやんちゃ坊主だった龍一選手の有り余る元気を活かしてスケートを始めさせたきっかけを作りました。
ペア転向時も「声がかかったのは可能性があるから」と背中を押し、送迎や栄養満点の食事で日常をサポートしました。
木原龍一の学歴
東海市立名和小学校 → 東海市立名和中学校(地元公立校)
4歳からスケートを始め、やんちゃで体操や水泳から脱走するほど自由奔放でしたが、スケートで一番楽しそうだったため継続。母親の鈴江さんが「目を離すとすぐどこかへ」と振り返るほど元気いっぱいでした。
中京大学附属中京高等学校(愛知県名古屋市昭和区)
フィギュアスケーターを目指す選手のほとんどが目標とする名門校。浅田真央さんや宇野昌磨選手など、日本を代表するスケーターを多数輩出しています。
フィギュア部黄金期。全日本ジュニア2位の実力者で、クラスメイトの宮市亮選手(同級生)と3年間同じクラス。朝夕の練習をこなし、学業も維持していました。
中京大学 スポーツ科学部 卒業
中京大学では競技と学問を両立し、運動生理学やトレーニング理論を学びながらスケートに打ち込みました。2013年、大学在学中(3年生時)にペアへの転向を決断するという大きな決断もこの時期のことです。
最初はシングル継続を優先。成長痛で「非力くん」と呼ばれつつ、トリプルアクセルを練習するなど努力家でした。
スケート歴・競技経歴
シングル時代(幼少期)
木原龍一さんがフィギュアスケートを始めたのは、わずか4歳のとき(1996年)。愛知はスケートが盛んな土地柄で、名古屋の荻野正子コーチの指導のもとシングルスケーターとしてキャリアをスタートさせました。
「スケーティングは荻野先生との鬼ごっこで鍛えられました。スピードは昔から自信がありましたね」と本人が語るように、基礎からしっかりと力を磨きました。その後、荒川静香さんを育てた長久保裕コーチのもとでさらに専門的な指導を受けます。
2003年(小学5年)には全日本ノービスB優勝を果たし、早くから才能を発揮。2010〜2011シーズンには全日本ジュニア選手権で2位、全日本選手権に初出場して新人賞を獲得。世界ジュニア選手権でも10位入賞を果たすなど、シングルでも確かな実力を示しました。
ペア転向〜高橋成美とのペア(2013〜2015年)
2013年1月、日本スケート連盟の勧めにより男子シングルからペア競技へ転向。当初は乗り気ではなかったという木原さんですが、「五輪を目指して挑戦するというのは、今しかできないこと」と決断しました。
最初のパートナーは高橋成美さん。2014年ソチオリンピックでは団体戦に出場し、ペアとして初めて五輪の空気を肌で感じました。この時期に海外合宿での練習密度やリフト・ツイストなどペアの基礎を一気に習得しました。
ミラノコルティナオリンピック2026🇮🇹❄️フィギュアスケート競技⛸️本日は男子ショートプログラム!!
— 高橋成美 OLY (@NarumiTakahash4) February 10, 2026
今日も全力応援!📣🔥 pic.twitter.com/0IH5tnkxJ0
須崎海羽とのペア(2015〜2019年)
2015年から中京大の後輩である須崎海羽さんと新たなペアを結成。
2018年平昌オリンピックにも出場しましたが、個人21位・団体5位と思い描いた結果は出せませんでした。この頃、木原さんは「ペアに向いていないのではないか」と深く悩んでいたといいます。
2019年、須崎さんとパートナー解消。新しいパートナーを見つけられず、引退の危機に立たされた木原さんは、生計のために愛知のスケート場「邦和スポーツランド」でアルバイト(約4カ月間、週3回程度の勤務で貸靴カウンターや氷上監視)をしながら、閉館後の誰もいないリンクで一人黙々と滑り続けていました。
三浦璃来との出会い〜「りくりゅう」誕生(2019年〜)
転機は突然やってきました。スケート場でアルバイトをしていた木原さんのもとに、パートナーを探していた三浦璃来さん(当時17歳)から「トライアウトをしてみませんか?」という連絡が届いたのです。
2019年7月末、二人は初めて一緒に滑りました。その瞬間について木原さんは後にこう語っています。「最初に滑った瞬間から、『絶対にうまくいく』と確信しました」。8月5日、木下グループから新ペア結成が正式発表され、「りくりゅう」が誕生しました。
木原さんが9歳年上。身長差は約30cm。一見異色のペアでしたが、二人の息はぴったりでした。拠点をカナダ・オークビルに移し、国際舞台での戦いが始まりました。
三浦璃来選手・木原龍一選手が悲願の金メダル😭
— オリンピック (@gorin) February 16, 2026
日本ペアとして初のオリンピック金メダル🥇
おめでとうございます👏#オリンピック | #ミラノ・コルティナ2026 pic.twitter.com/D0GbBoclKo
三浦璃来さんとの絆
「りくりゅう」という愛称で日本中から愛されている二人ですが、その関係性は単なる競技パートナー以上のものと言えます。
年齢差9歳・身長差30cmという組み合わせながら、お互いへの深い信頼と尊重が二人の演技を支えています。木原さんはかつてインタビューで「最近は璃来ちゃんに尻に敷かれている」と笑いながら語ったこともあり、年下のパートナーを立て、璃来さんが最大限輝けるよう引っ張る木原さんの包容力と、木原さんがへこんだときにしっかり支える璃来さんの強さが、二人の演技の美しさの源です。
誕生日にプレゼントを贈り合うなど、氷上を離れた場でも仲の良さを見せる二人。現在は競技上のパートナーとして互いを支え合っています。
りくりゅうペアの主な成績:
- 2022年 北京冬季五輪 団体銀メダル(日本初)・ペア7位入賞(日本初)
- 2022年 グランプリファイナル優勝(日本人ペア初)
- 2023年 世界選手権優勝・年間グランドスラム達成(日本フィギュア史上初)
- 2024年 四大陸選手権優勝
- 2025年 世界選手権優勝・グランプリファイナル優勝
- 2026年 ミラノ冬季五輪 金メダル(キャリアゴールデンスラム達成)
2026年ミラノ・コルティナ冬季オリンピック
2026年2月、ミラノで行われた冬季オリンピック。りくりゅうペアにとって、これが最大の舞台でした。
しかし前日のショートプログラム(SP)では、木原さんのリフトにミスが出てしまい5位と大きく出遅れる苦しい展開に。首位ドイツペアとの差は6.90点という厳しい状況でした。
そして迎えたフリー(FS)。二人は完璧な演技で世界歴代最高得点となる158.13点をたたき出し、圧倒的な逆転で金メダルを獲得しました。
演技を終えた木原さんはリンクに座り込み、涙を流しました。引退を考えスケート場でアルバイトをしていたあの日から、三浦璃来さんとの出会い、数々の怪我と試練を越えてきたすべての記憶がよみがえったことでしょう。
この金メダルにより、オリンピック・世界選手権・グランプリファイナル・四大陸選手権のすべてを制覇する「キャリアゴールデンスラム」も達成。フィギュアスケートペア界の歴史に、その名を刻みました。
なお、表彰式のリンクサイドには、木原さんの最初のペアパートナーだった高橋成美さんが解説者として駆けつけ、喜びを分かち合う感動的な場面も話題になりました。
ミラノ・コルティナ冬季五輪。日本時間このあと深夜にあるフィギュアスケート団体ペアフリーに向けて、ペアの「りくりゅう」こと三浦璃来選手、木原龍一選手組が練習に臨みました。
— 毎日新聞写真部 (@mainichiphoto) February 8, 2026
写真特集→https://t.co/WkXNIDsbt5 pic.twitter.com/BH9ZVzlxBg
まとめ
4歳でスケートを始め、シングルからペアへの転向、二度のパートナー解消、引退寸前のどん底、そしてスケート場でのアルバイト——。数えきれないほどの挫折と試練を乗り越えてきた木原龍一さん。
「最初に滑った瞬間から絶対うまくいくと確信した」という三浦璃来さんとの運命的な出会いが、日本フィギュアスケート史に輝く金メダルへとつながりました。
愛知県東海市の「ふるさと大使」も務める木原龍一さんの今後の活躍から、引き続き目が離せません!


